7月19日(土)校長ブログ「Make it Kozy!」vol.315〜オールドメディアの『あがき』〜
本日は、通常ひと月に1回、水曜日の18時15分〜19時半頃に開催する「クリエイトラボ・セミナー」を特別に土曜日に開催した。「クリエイトラボ・セミナー」は高津高校創造探究事業の一つとして、同窓会が企画運営し、様々な業種で活躍されている卒業生の方をお招きし、生徒たちに社会のことや仕事のこと、進路のことなどを語っていただける貴重な講演会である。テーマによって参加の多少はあるが、興味関心のあるテーマを選択するので、参加生徒にはすべて意義ある時間となっている。
本日の講師、ABCアナウンサーの古川昌希氏は高津高校58期生。平日はテレビ・ラジオなど複数の番組を担当しているため土曜開催となった。テーマは「オールドメディア」。現在、若者を中心にご年配の方まで多くの方の情報源はSNSやサブスク。テレビも見ない、ラジオ聴かないという方は本当に増えている。そういう現状から「オールドメディア」と言われるテレビ・ラジオの現在を、さすがプロ、温和な人柄が滲み出る、人を引き付ける話しぶりで真面目に語っていただいた。
私が印象に残ったのは、報道における事実確認の大変さ。例えば、「鶴橋駅で火災が起こった」との情報をキャッチした際に、それが本当に起こったのか、もしかするとデマかもしれないし、鶴橋駅ではないかもしれない、鶴橋駅だとしてもJRなのか近鉄なのか、情報源の方の勘違いも含めて、当然ながら『事実』を確認しなければならないとのこと。そのためには少なくとも消防署、警察署、jRに近鉄、大阪メトロに直接連絡しなければならない。そこまできちんと確認してからでないと放送できないということだ。朝、昼、夕方、夜と、それぞれの締切に間に合うか間に合わないかなど、時間との勝負でもある。
もう一つは、地震などの災害や、事故などの緊急時の被害に合われた方へのインタビューでの情報収集の話。当然であるが、被害に遭われた方はその悲しみに打ちひしがれている。思い切り泣いている方もいるし、憤っている方もいるかもしれない。そのような中、その方々に報道機関の仕事とはいえ、各局の記者から何度もインタビューを受ける。各局もしっかり事実を確認し、その方々のお気持ちを伝えたいというジャーナリストとしての使命感によるものではあるが、古川さんは、ある時、これでいいのか、これはいけないと感じたという。伝えるためとはいえ、被害に遭われた方に何度も入れ替わり立ち代わりマイクを向ける、カメラを向けることが正しいことかと。
そして、この状況を何とかしようと、今、災害時や緊急時は、その方々の悲しいお気持ちを優先し、局の壁を越えて、そういうインタビューの映像や情報を共有しようと動いているという。また、後のラジオに関する質問に対しても、「ラジオは、テレビより喋っている方の人柄が強く出る。それが良いところでもあるけれど、だからこそラジオで話すときは、より人を傷つけることのないよう意識している」とおっしゃっていた。そして、今のそういう状況を、「オールドメディアに関わる者として、一生懸命、”あがいて”います」と表現されていた。
高津高校の卒業生としても、活躍されている一アナウンサーとしても、その心根に尊敬の念が生まれた。今の高校生はSNSを治療しているが、みんなが情報の受信者であり、発信者でもある。自身の投稿が人を傷つけないか・・・絶対に忘れてはならない。Make it Kozy!人に優しく、高津生!
心根を 推して知るべし 昌希節








