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進路講演会(1年生)

7月の「体験型進路学習Ⅰ」(職場訪問)で職業について理解を深めた後、「学問」に触れる初めての機会として進路講演会を実施しています。令和3年度は11月4日(木)6限に、京都大学をはじめとする近畿圏の国公立大学の先生9名をお招きし、模擬講義をしていただきました。

 高津に入学してまだ1年弱しか経っていない1年生ですが、自分の進路を考え、大学・学部や2年生での選択科目を決めていくうえで、また、2年生での「体験型進路学習Ⅱ」(研究室訪問)に向けて進路意識を高めていくうえでも、貴重な50分間となりました。

 以下は講義一覧です。大学の先生からいただいた「講義要旨」と生徒が書いた「聴講レポート」(特に印象に残ったフレーズと、それに対する意見や感想)の中から一部を紹介します。

人類を救う科学革命:mRNAワクチンとPCR


大阪府立大学・理学系研究科
恩田 真紀 准教授

【講義要旨】
この講義をする頃には、もうノーベル賞が確定していると思いますが、K.カリコ博士は受賞されたでしょうか? mRNAワクチンの発明者である彼女、実は教授のパワハラで大学を追われたサラリーマン研究者です。そして奇しくも、PCRの発明者K.マリス博士(1993年ノーベル賞受賞)もまた、フリーターから転身した不良サラリーマンでした。
RNA薬剤は、ワクチンに留まらず、無限の可能性を秘めた革新的技術で、人類はついに、ヒトの身体の中で、本来ヒトが持っていない蛋白質を自在に作り、操れるようになりました。そしてPCRもまた、バイオ史上最大の発明と謳われ、これが無ければRNA薬剤もiPS細胞も生まれませんでした。この講義では、RNA薬剤とPCRの原理・応用、COVID-19治療薬の開発について、発明者の逸話を交えながら解説します。

【生徒 聴講レポート】
mRNA」という名称は聞いたことがあったがどういう働きをする何なのか知らなかったが、人体のタンパク質を自在に操ることにより、ワクチンの開発・病気の治療に活かせることが分かった。またこれは、ドーピングなどの良いとは言えない使い方もできることがわかった。「PCR」については、自分自身が科学部の活動で使ったこともあったので理解しやすいと思っていたが、DNAのプライマーが作られる理由、2乗ずつ増えていく理由は知らなかったので今後の活動にも活かし、PCR技術の本質を理解して行えると感じた。上記のことの他に、理学部に自分は進もうと思っていたが、先生の就職のしやすさや工学部の利点、工学部からでもバイオ系に転べるということを知ったので新しく自分の進路を考え直そうと感じた。

ロケットと次世代宇宙往還機 ~これからの宇宙旅行~


大阪府立大学・工学研究科
比江島 俊彦 講師

【講義要旨】
現在、宇宙に行く手段はロケットしかありません。最近、いくつかのベンチャー企業が主導して新たな宇宙往還飛行が行われ始めていますが、推進機関は既存のロケットと同じです。もし旅客機のような機体で宇宙に行って帰ってくることができれば宇宙旅行は身近なものとなるでしょう。本講義では,まず現状のロケットや宇宙往還機について解説し、続いて研究対象である次世代超音速旅客機と次世代型宇宙往還機の推進機関として有望なスクラムジェットエンジンについてわかりやすく説明します。

【生徒 聴講レポート】
自分は旅行が好きで、家族とたまに飛行機に乗るので、このようなスクラムジェットエンジンができたら乗っている時間が少なくて良いと思う。今までマッハ5を超えるものはロケット以外ないけど、グローバル化が進む現在、人や物の輸送などが短時間になるならこのエンジンはとても重要だと思います。自分が好きなことを続けられることは本当に楽しいことだし、夢中になれる良いことだと思います。自分も夢中になれることを見つけたいです。
「研究」というものが、(問題を解決する→別の問題の発生→その問題を解決する)というこれらのことの繰り返しで、常に壁があり、それを乗りこえ成長していくものだと分かった。私も常に成功を求め努力していきたいと思う。

「少子化はどうして進む?進むとどうなる?」


大阪大学・経済
山本 和博 教授

【講義要旨】
2019年の日本では一人の女性が一生で産む子供の人数は平均1.36人です。これは国際的に見ても低い数字であり、少子化が進んでいることは明らかです。この講義では、少子化が起こる原因について考えてみたいと思います。さらに、少子化が進むと何が起こるのかについても考えてみたいと思っています。

【生徒 聴講レポート】
「現在の日本はGDPの成長率と借金の成長率がほぼイコール」コロナの不況がこのまま何年も続いた場合、日本経済も崩壊してしまうかもしれないなと思った。日本の人が国債を全て売ると、国債に価値がなくなり、国の財政破錠が起きる。政党のそれぞれの大まかなマニフェストの内容が知れたことにより、与党と野党がどういった対立をしているのかということを発見した。

憲法学からみたウイルス対策


大阪大学・高等司法研究科
村西 良太 准教授

【講義要旨】
憲法といえば、9条(戦争の放棄)を真っ先に思い浮かべるかもしれませんが、その本質は、公権力の発動を厳格に統制し、もって個人(市民)の自由を保障するところに存しています。この「自由」という概念は、どのような状態を意味するのでしょうか。また、公権力がいかなる措置を講じたとき、「自由」は侵害されたといえるのでしょうか。さらに、「自由」に対する侵害は、どのような場合に憲法違反と評価されるのでしょうか。ウイルス対策の名の下に繰り返される「自粛の要請」を素材に、一緒に考えてみたいと思います。

【生徒 聴講レポート】
「公権力の行使の正当性を究極に裏付けているのが憲法」,「自由とは公権力の行使を最小限に抑えること」。とらえ方によっては犯罪と紙一重になってしまいがちな公権力の行使を、憲法という盾によって、正当性を主張しているという考え方が面白かった。同時にそれらの抜け道であると考えていた自由が、この講義を通して、自由でさえも憲法というものの支配下にあり、守られているという解釈に変わった。「個人の利益は公益と比べたら小さく、放っておいたら失い続けてしまう」とあり、バランスの重要さを改めて考えることができた。
感染予防の対策のために行われていることが、憲法上での自由と矛盾するが、それをしなくてはならない理由も十分にわかり、そこで板挟みになる憲法学の人々の苦悩を考えると大変だと思った。

子どもの「不思議」から発達の「謎」へ


神戸大学・国際人間科学部
木下 孝司 教授

【講義要旨】
子どもたちの言動は、私たちおとなの「当たり前」を考え直す材料を提供してくれます。たとえば、私たちは鏡に映った姿を自分だと理解しています。当たり前のことです。でも、1歳くらいまでの乳児は、鏡を見ても、私たちとは異なる反応をします。こうしたことから、「わたし」という意識の起源を考えることができるのです。今回は、乳幼児期を対象とした発達心理学の知見をご紹介して、子どもの「不思議な」言動を出発点にして、私たち人間の発達をめぐる「謎」を少し考えてみたいと思います。そして、こうした学びが幼稚園や小学校の先生にとって、どんな意義があるのかにも触れて、国際人間科学部の紹介もします。

【生徒 聴講レポート】
「子供は鏡だと前後がわかりにくい」普段当たり前のように鏡を使っているけれど、何も知らない子供にはそれすら簡単なことではないことだと知れて面白かった。「大人かどうかは相手との関係、役割で変わる」自分が大人かどうかを考える機会はよくあって、その度にわからなくなるけれど、この言葉はスッと入っていき、すんなり理解できた。
子供だけではなく、同級生に対しても自分が当たり前だと思っていたことが通用しないことがたくさんあるかもしれないと思った。

わたしの心をわたしは知らない――コミュニケーションの相互行為論


大阪市立大学・文学研究科
福島 祥行 教授

【講義要旨】
「じぶんの心がつたわらない」と思うことがありますか? 「ある」と思ったあなた、あなたは、あなたが何かをいうまえに、いいたいことがじぶんでわかっているはずですね。でも、ほんとうに? じつは、いろいろな実験の結果がしめすのは、じぶんのいいたいことは、話したあとでわかるということなのです。今回のミニ講義では、いろいろな実験をおみせしたのち、どうしてそんなことになるのかについて解説します。ぼくの専門は言語学・言語教育学ですが、この研究は、社会学、心理学、哲学、脳神経科学などにも関係するものですので、そのあたりの学問に関心のあるあなたは、ぜひご参加ください。

【生徒 聴講レポート】
①「人間は社会的生物であり、キバがないのは闘争を防ごうという考えが途中で生まれたからである」
→闘争を防いで平和に暮らしていこうという考え方は事実かもしれないが、核兵器をつくって戦っているという面を含めて考えると本当に社会的とは言い切れないのではないかと思った。
②「コミュニケーションを通じて話者と共話者が一体となる瞬間がある。」「意味は話した後に初めてわかる」
→意味自体は「話す・書く」という動作を行った後にわかることが多いという点ではその通りだと思った。話者と共話者が一体になるというのは一瞬過ぎて日常では気づけないだろうと思い、そのようなことを研究対象にしているのが凄いと思った。
実際に会話をしている際に感じられる言葉をつむぐような、それでもよくわからないような感覚は自分自身が話す「意味」が話した後であるからだと感じた。又、脳内の神経を切断された人がうまく解釈したり、ジャムや顔写真で「好きな方」と反対を示されていることに気付かずに説明し、その印象が深く刻みこまれてしまっているのを知ったことで私自身が日頃、勝手な解釈で説明し、思い込ませていることがあるのではないかと不安に感じました。

外国語学部で言葉を学ぶとは?-世界・北欧・日本の異同-


大阪大学・言語文化研究科
古谷 大輔 教授

【講義要旨】
「外国語学部で言葉を学ぶ」とはどのようなことなのでしょうか? 例えば、歴史のことを考えてみましょう。大学では法学部や経済学部、文学部などで各々の学問分野が対象とする歴史を学ぶことができますが、それらと比べた時に「外国語学部で歴史を学ぶ」ことはどのような点で異なっているでしょうか?僕は研究者としては歴史学という手法を使って北欧の歴史を研究し、教育者としてはその成果を学生たちに伝えています。文学部で歴史学の方法を学びましたが、北欧語でしか解き明かすことのできない資料に触れた時に「外国語学部で言葉を学ぶ」意味が明らかになりました。
この講義では、そのような僕自身の経験を踏まえながら、世界に生きる人びとにとって普遍的に大事とされている「自由」や「権利」といった言葉の歴史を例に世界・北欧・日本の間での異同を論じつつ、「外国語学部で世界を学ぶ」意味を皆さんに伝えましょう。

【生徒 聴講レポート】
能力に応じて権利を与えていた昔のヨーロッパのことが頭に残った。その場合の能力の判別はどのようにするのでしょうか?何かテストをして農民向き、兵士向き、などと分けるのか、やはり親が農民だったから子も農民という風な抗えない運命によるのか。辞書が本当に正しいのか疑え、という言葉も印象深かった。絶対的な正はなく感受性によって、はたまた時代によって変わり、ひとつのことばに無限の可能性と、深い深い味があるので、辞書ばっかりを先生にして、自分で考えるのをやめてはいけない、というこのことばに、とても納得した。
同じ言葉でも時代などによって意味が微妙に違っていて面白いと思った。また、同じ言葉を使う別々の国の間でも、一つの語の意味に違いがあることを知った。

 

新型コロナ感染症に打ち勝つための医薬品


和歌山県立医科大学・薬学部
太田 茂 教授

【講義要旨】
医薬品は現代の医療を考えるときに必要不可欠なものとなっています。それでは現在私たちが服用している医薬品はどのようにして作られているのでしょうか。今から100年前には医薬品は偶然がきっかけとなって作られることがほとんどでした。しかし現在では病気それぞれに対応した医薬品創製が行われています。本講義では新型コロナウイルスに対するワクチンとはどのようなものか、新型コロナ感染症治療薬開発はどこまで進んでいるかなどについてお話をする予定です。また新型コロナ感染症だけでなく、一般の医薬品創製に際して注意しなくてはいけない点や重要な考え方について解説して、薬学部でどのような講義が行われているのかについても知ってもらえればと思います。

【生徒 聴講レポート】
「選択毒性…細菌には毒だが、ヒトのからだには毒じゃない」:インフルの例を聞いて、とても納得できた。でも、入ってくる菌だけに攻撃できるものをどうやって作るのかとても疑問だった。ヒトのからだにも全く毒じゃないとどうやって証明するのか不思議だった。
「これからの感染症に対する薬を私たちの世代が考える」:大学はその方法を教えてくれたりするだけで、そこから自分たちがどうやって作るかを考えるということを改めて知った。今、コロナの治療薬を開発している人たちは、多くの努力をしてくれて、私たちに安心を届けようとしてくれると思った。
0から薬はまだ作られていないこと。全て何かを偶然発見して作られたり、何かを参考にして作られたりしていることを初めて知った。モルヒネから痛みをやわらげる薬ができたことには驚いた。mRNAワクチンはもともとガンのためのワクチンだったこと。私は、mRNAワクチンはコロナが出てきて新しく開発されたものだと思っていた。早くガンに使えるようになってほしいと思った。

「電気抵抗ゼロ!磁気浮上!超伝導の不思議」


京都大学・理学研究科
北川 俊作 助教

【講義要旨】
電気抵抗とは、中学校で習うオームの法則V=RIのRです。電気抵抗が小さいほど電気はよく流れます。つまり、絶縁体では電気抵抗が大きく、金属では小さいです。通常の金属では、どんなに電気を良く流すものでも電気抵抗はゼロになりませんが、超伝導体では電気抵抗がゼロになります。超伝導体は、このゼロ抵抗の性質によって電力損失無しの送電線や、超強力磁石になることが出来ます。また、超伝導体はもう一つの性質、マイスナー効果によって磁石に反発し、空中浮上します。このように不思議な性質を持った超伝導体を身の回りで見る機会は少ないですが、最近では病院のMRI装置や2027年開業予定のリニア中央新幹線など活躍の機会が広がっています。講演では超伝導の性質や最近の話題についてわかりやすく解説したいと思います。

【生徒 聴講レポート】
「絶対温度」:聞いたことのない単語で、でも身近なものだから驚いた。確かにマイナスがあると、少し不便かも。
「冷やしていくと、物によってそれぞれ異なる性質が見えてくる」:とても面白いなと。酸素や水素も冷やしたらどうなるのか知りたいです。
「発電→送電で5%電力が失われる」:とてももったいないなと思った。だから発電の効率が落ちてCOが増えているのではと思いました。
「超伝導になるのは全部で57種類しかない(単体で)」:無限に存在していてほしかった。気体でも超伝導になれるのは興味深い。
「液体窒素が簡単に手に入る」:ほしいと思った。飲めないと分かっているが、飲んでみたいです。
高温を作るのは簡単だが、低温を作るのは難しい。確かに、考えても低温を作る方法はなかなか思いつかない。金属を冷やせば冷やすほど電気抵抗は減る。しまいには0になる。消費電力も0になる。普通の磁石<電磁石 水と反発するのを生かして蛙をうかせられる。今回のタイトルと似てる!!

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