進路講演会(1年生)
7月の「体験型進路学習Ⅰ」(職場訪問)で職業について理解を深めた後、「学問」に触れる初めての機会として進路講演会を実施しています。令和7年度は10月30日(木)6限に、京都大学をはじめとする近畿圏の国公立大学の先生8名をお招きし、模擬講義をしていただきました。
高津に入学してまだ1年弱しか経っていない1年生ですが、自分の進路を考え、大学・学部や2年生での選択科目を決めていくうえで、また、2年生での「体験型進路学習Ⅱ」(研究室訪問)に向けて進路意識を高めていくうえでも、貴重な50分間となりました。
以下は講義一覧です。大学の先生からいただいた「講義要旨」と生徒が書いた「聴講レポート」(特に印象に残ったフレーズと、それに対する意見や感想)の中から一部を紹介します。
「実践!PCR 目撃!バイオの革命」大阪公立大学・理学系研究科
恩田 真紀 先生
【講義要旨】
こんにちは、ハンドボール部OGの恩田です。私は高津高校卒業後(浪人を経て)バイオの道に進みました。本日は、皆さんの目の前でPCRを実践し、DNA鑑定を行います。そして、PCRの原理や応用(新型コロナウイルスの鑑定)、PCRの発明者・不良サラリーマンKマリス博士の逸話についても紹介します。「バイオ史上、最大の発明」と謳われるPCR。これが無ければiPS細胞や遺伝子組換え技術、バイオ医薬品などのテクノロジーは実現しませんでした。この革命的技術を是非、目撃してください!
「海洋の持続可能な利用方法をさぐる」
大阪公立大学・工学研究科
中谷 直樹 先生
【講義要旨】
私たち人類は,海洋から様々な「恵み」をもらうことで生存することができています。この「恵み」の機能は非常に大きく,人類だけでなく地球システムの維持には欠かせないものです。この講義では,普段は実感することはないものの,私たち人類が享受している海洋からの重要な「恵み」について,まず説明します。その後,海に潜在する様々な海洋資源を中心とした「恵み」を紹介するとともに,これらの持続可能な利用方法と,その研究事例について解説します。
「経済学部で学ぶ消費者行動と経営学」
大阪大学・経済
勝又 壮太郎 先生
【講義要旨】
経済学部では経済学の理論を理解することに加えて、経営学に関わる実践的な学問も学ぶことができます。特にマーケティングでは、消費者がどのように意思決定を行い、製品やサービスを選択するのかという「消費者行動」が重要なテーマとなっています。これらの知識は企業の経営戦略に活用されるだけでなく、私たちの日常生活における購買行動にも深く関係しています。本講義では、消費者の行動を分析する理論を解説するとともに、経営学への応用についても紹介していきます。
「「自白」と「拷問」の歴史―「魔女裁判」を手掛かりに―」
大阪大学・法学
的場 かおり 先生
【講義要旨】
「容疑者が犯行を自供したとのことです」。ニュースなどでよく聴くフレーズですし、みなさんはさほど気に留めないかもしれません。でもこのフレーズ、法律的に見れば、きわめて重要で、かつ注意を要するものなのです。
講義ではまず、「自白(=自供)」が現在の法律でどう取り扱われているのかを考えます。次に、「自白」の重要性をより深く理解するために、「自白」の取り扱いがどう変遷してきたのかに着目します。つまり、現在の「自白」に関する法則がどのような歴史の上に成り立っているのかを学習します。これを学ぶために最適な素材が「魔女裁判」です。かつて西洋諸国で「魔女だ!」と密告された者が火あぶりに処された、というあの恐ろしい出来事です。「魔女裁判」の実態を解明しながら、本当に怖い/本当は怖い「自白」について考えます。
「自白」を通して、現代の刑事司法を理解するとともに、世界史(ヨーロッパ史)の知識も深めましょう。
「動物のこころを知ること ―比較認知科学への招待―」
京都大学・文学
黒島 妃香 先生
【講義要旨】
ヒトが感じ、覚え、考えることができるのは、心の働きによるものである。こうした能力はヒトに特有のものではなく、他の動物たちも多様な「こころ」を持つと考えられている。比較認知科学は、ヒト以外の動物を対象とし、その認知的能力をヒトと比較することによって、心の多様性やヒトの心の進化の過程を明らかにしようとする心理学の一分野である。本授業では、京都大学文学部心理学専修・比較認知科学研究室で行われている、さまざまな動物種を対象とした研究事例を紹介する。動物のこころを知ることを通じて、ヒトのこころを捉え直す新たな視点を得る機会としたい。
「木簡を読む」
磐下 徹 先生
【講義要旨】
木簡(もっかん)という資料を知っていますか?これは墨で文字が書かれた木の板で、発掘調査をすると、土の中から掘り出されることがあります。古いものでは、飛鳥時代(7世紀)や奈良時代(8世紀)のものが発見されています。木簡は、特に古い時代の歴史を考える材料として重要視されています。こうした木簡から、どのようなことを明らかにできるのでしょうか?そもそも木簡はどのように使われていたのでしょうか?今回の講義では、奈良時代の木簡をとりあげて、それがどのように使われたのかに注意しながら、その内容と機能について皆さんと一緒に考えてみたいと思います。こうした作業を通じて、大学における学びや歴史研究の一端に触れてもらおうと思います。
「タンパク質の立体構造から生命の仕組みを理解して最新の薬を創る」
入江 克雅 先生
【講義要旨】
細胞は生命の基本単位であり、我々の身体は約37兆個もの細胞から構成されます。細胞は細胞膜を通じて物質の出入りや情報のやり取りを行い、このやり取りを行うのはイオンチャネルや輸送体及び受容体と呼ばれる膜タンパク質です。イオンチャネルによる電気刺激により我々は思考や記憶が可能になり、COVID-19などのウイルス感染は細胞膜上の受容体を悪用して起こることが多い。
タンパク質は10nm程度の非常に小さい分子であり、波長が400~800nmの可視光では観測すらできません。よって、より波長の短いX線や電子線を使うことで初めて観察ができます。本講義ではタンパク質の構造を知ることで、それらの機能が如何にして実現されているかを解説します。これにより、神経情報伝達やウイルス感染などの生命現象を分子レベルで理解することの面白さやこの知識を利用した新しい薬の創造について紹介できればと思います。
「電気抵抗ゼロ!磁気浮上!超伝導の不思議」
京都大学・理学研究科
北川 俊作 先生
【講義要旨】
電気抵抗とは、中学校で習うオームの法則V=RIのRです。電気抵抗が小さいほど電気はよく流れます。つまり、絶縁体では電気抵抗が大きく、金属では小さいです。通常の金属では、どんなに電気を良く流すものでも電気抵抗はゼロになりませんが、超伝導体では電気抵抗がゼロになります。超伝導体は、このゼロ抵抗の性質によって電力損失無しの送電線や、超強力磁石になることが出来ます。また、超伝導体はもう一つの性質、マイスナー効果によって磁石に反発し、空中浮上します。このように不思議な性質を持った超伝導体を身の回りで見る機会は少ないですが、最近では病院のMRI装置や2027年開業予定のリニア中央新幹線など活躍の機会が広がっています。講演では超伝導の性質や最近の話題についてわかりやすく解説したいと思います。







