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6月7日(金)校長ブログ「Make it Kozy!」vol.56~啐啄同時~

 「啐啄同時」という言葉がある。「またとない好機」のことを言う。または、学ぼうとする者と教え導く者の息が合って、相通じること。鳥の雛ひなが卵から出ようと鳴く声と母鳥が外から殻をつつくのが同時であるという意から来ている。
 本日、教育実習生が3週間の実習を終えた。すでに5名は先週に2週間の実習を終えていたが、皆卒業生でもあり、後輩の生徒を見守る目も優しかった。それでも、教師という職業は、今後ますます大変になる。教育実習生に、教員不足の理由を尋ねると、やはり、「不祥事やブラックな面ばかりが大きく報道されている」「残業が多い、休めないといった待遇が悪い」ということを挙げる。
 逆に、なぜ教師になりたいかという質問には、「教えることが好きだから」「良い先生に出会ったから」というのが大きい。30年以上前は、「夏休みがある(実はそれほどはなく、部活動顧問は特になかった)」「テスト休みがある(これも実はなかった)」「公務員として安定している」ことから、「教師にでもなるか」「教師しかなれん」と、「でもしか先生」とも呼ばれて、どちらかというと、楽な仕事というイメージがあったので、少なくとも私が生徒の頃は『個性』という言葉では表現できない教師もいた。
 それを思うと、教育実習生の思う教員不足の理由はもちろんだが、単純に一人の教師にかかる仕事量や責任が多すぎて、かつ、求められるスキルがあまりにも高すぎるのである。確かに『教員免許』をもって仕事をしているかぎり、プロとしての責任があるが、全員が全員、何でもできるスーパーマンではない。担当教科の専門性については大きな責任があるが、それぞれ得意分野が違うのだから、できることとできないことがある。「教師なのだから」が当てはまる部分と当てはまらない部分があるのである。だから、現在、学校は「チーム学校」として、行政や外部の専門機関と連携することで何とか動いているのだが、目の前の仕事量だけは物理的に手に負えない。現状のまま、時間削減を優先すれば、仕事が余るということは、小学校の足し算引き算ができればわかるのである。
 と、気が付けば、教員不足を助長するような話になってしまったが、それでも、教師をめざす人たちや、現役の教員に、話を聞くと、やはり「教育」「人を育てる大切さ」を始め、「学ぶ喜びを与えたい」「人生に大切なことを伝えたい」「部活動を通して、一緒に泣いたり喜んだりしたい」という教師としての『生きがい』『教師冥利』に魅力を感じるという。
 その純粋な動機に嘘はなく、実習生の学ぶ姿勢にも意気を感じる。そのうちの一人は、私の大学時代のアルバイトの後輩だという。実は、教員の一人も後輩であり、一種の絆を感じている。数名にそんな話をすると、皆、「アルバイトの後輩?絆って、アルバイトにそんな関係あるんですか?」と、不思議そうな顔をする。普通の人にはわからんだろうなと感じつつ、「また、時間あるときに話すわ」と笑顔で返す。それこそ約40年続く、大学時代のアルバイト先でしか生まれない特別な人間関係は、一生の宝物として心の中にドンと収まっている。…あ、もちろん闇バイトではないので、ご安心を。
 卒業生の教育実習生たちよ。いつもは、若者の考えを知りたくてゆっくり話す時間を取っているのだが、出張ばかりで時間が取れなかった。この先、教師になろうがなるまいが、幸せな人生を送れるよう、頑張ってください。縁を大切に。応援している。頑張れ、高津卒業生、Make it Kozy!
  ふいに来る 啐啄同時 逃さずに

2024.06.08

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